潮騒の宝箱

海の生き物が大好き、その中でも和歌山県で採集した大好きな貝類を中心に紹介しています。過去スレへのコメントも大歓迎です(=^ ^=)/
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シロザル

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Chama brassica REEVE, 1846 シロザルガイ(シロキクザルガイ)
  Syn: chinensis CHENU, 1846、elatensis (DELSAERDT, 1986)、praetexta REEVE, 1847
キクザルガイ科 2001年3月 御坊市 名田町 上野港揚がり 名田町沖 エビ刺し網 水深20m 65mm

模式産地:不詳
分布:紀伊半島、九州西岸、奄美大島、沖縄県、フィリピン、タヒチ、パラオ、紅海、タンザニア、
   マダガスカル
   潮間帯下部〜水深20m 岩礁

フィリピン産のものはとても鮮やかで色彩の変異がありlazarus LINNAEUS, 1758 ヒレインコガイと並んで人気のある貝ですが、和歌山のものは一様に図示したような色合いが多いようです。

HPの方では近海産図鑑を信じてambigua LISCHKE, 1870 ヒトエギクガイとしてました。

参考文献:
日本近海産貝類図鑑(奥谷喬司編著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)

ヒトエギク

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Chama ambigua LISCHKE, 1870 ヒトエギクガイ
キクザルガイ科 2014年12月 南部堺港揚がり 南部沖 エビ刺し網 水深30m 40mm

模式産地:不詳
分布:房総半島・能登半島、紀伊半島、九州
   潮間帯下部〜水深20m 岩礁

掲示板のやりとりで図の個体が本来、ヒトエギクと呼ばれている貝のようです。
(菖蒲色が奇麗です。)
近海産図鑑で本種とされいている図は次に紹介するbrassica REEVE, 1846 シロザルガイだと思われます。

殻の付着しているのはBalanus crenatus BRUGUIÈRE, 1789 サンカクフジツボと思われます。(本来、内湾性のフジツボなのですが…)
この仲間は殻がもろいので付着物をどこまで除去するのか難しいです。

参考文献:
日本近海産貝類図鑑(奥谷喬司編著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)

ウンモザル

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Amphichama argentata KURODA & HABE, 1958 ウンモザルガイ(ウンモキクザルガイ)
キクザルガイ科 1993年4月 串本町 潮岬沖 水深100m ドレッジ採集 5mm

模式産地:土佐湾 水深100〜250m
分布:房総半島、紀伊半島、四国(土佐湾)、九州西岸、五島列島、フィリピン
   水深100〜300m 岩礁、砂礫底

ウンモザルガイは日本産の他の2属の種と異なり、左右問わず固着することができます。
自由殻の輪板肋の表面には真珠光沢があり、それが和名の『雲母』の由来です。

参考文献:
日本近海産貝類図鑑(奥谷喬司編著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)

ヒレインコ

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Chama lazarus LINNAEUS, 1758 ヒレインコガイ
  Syn: damaecornis LAMARCK, 1819
キクザルガイ科 2004年12月 南部堺港揚がり 富田沖 エビ刺し網 水深20m 87mm

模式産地:アジア
分布:紀伊半島、四国、九州南部、奄美大島、沖縄県、フィリピン、
   オーストラリア(クイーンズランド州〜西オーストラリア)、紅海
   潮間帯下部〜水深30m 岩礁

漁労屑の中に無造作に捨てられていました。
和歌山ではそれ程多い貝ではありません。

南方の個体は黄色いものや赤く染められたものなど鮮やかな個体が多いです。
この仲間では数少ない一目で種の分かる特徴のある貝です。

参考文献:
日本近海産貝類図鑑(奥谷喬司編著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)

キクザル

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Chama japonica LAMARCK, 1819 キクザルガイ
キクザルガイ科 2009年4月 串本町 上浦 潮間帯下部 33mm

模式産地:中国沿岸
分布:北海道南西部、陸奥湾、津軽半島、紀伊半島、奄美大島、沖縄県、朝鮮半島、中国
   潮間帯下部〜水深100m 岩礁

同じような種が多くいまいち同定に自信が持てない仲間です。
本属の種はretroversa (LISCHKE, 1870) サルノカシラガイを含むPseudochama属とは異なり、右殻で地物に付着します。
jukesii REEVE, 1847 シラガザルガイは本種の異名とされますがはっきりしません。

参考文献:
日本近海産貝類図鑑(奥谷喬司編著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)

カネツケキクザル

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Chama limbula LAMARCK, 1819 カネツケキクザルガイ
  Syn: iostoma CONDAR, 1837、aeruginosa LAMARCK, 1819、bülowiana CLESSIN, 1889、
     nivalis REEVE, 1846、porosa CLESSIN, 1889

キクザルガイ科
    2009年4月 串本町 上浦 潮間帯下部 72mm
    2002年7月 白浜町 椿 黒崎 水深1m 75mm

模式産地:不詳
分布:伊豆諸島、紀伊半島、奄美大島、沖縄県、フィリピン、ピトケアン諸島、クック諸島、
   オーストラリア(クイーンズランド州〜西オーストラリア)、紅海、タンザニア
   潮間帯下部〜水深20m 岩礁

記事訂正:2015年1月3日

画像掲示板や本記事で色々議論がなされ内容が二転三転してしまいましたが、私的な結論はやはり"カネツケキクザル"と言う事になりました。
年末に探していたもう1つの標本(下3図)が見つかり比較した結果、この2つは同種の可能性が高く、その個体はmasさんがコメントでおっしゃるような"浸透性のあるべったりした紫"でした。
(付着物か本体か分からない表面でクリーニングするのをためらった覚えがあります。)
画像掲示板でのじゅせいらさんの情報では本種には最初の2枚のような淡い紫の個体も出現するそうです。
近海産で使用されているiostoma CONDAR, 1837と言う学名は現在、上記の学名の異名とされており、ポッペ本やBIVALVES of AUSTRALIA Vol.1を確認した限りでは図の貝はlimbula LAMARCK, 1819 に当てはまりそうです。

上の標本は遠浅の平磯で大潮の時に採集したものですが、下のものは波あたりの強い急深の磯で素潜り採集しました。

本当に本科の貝は同定が難しいです。。。

同じように潮間帯岩礁で見られる同科の別属種、Pseudochama retroversa (LISCHKE, 1870) サルノカシラガイとは左殻で付着することで区別出来ますし、本種は内面の周辺が紫彩されます。
imbricata LISCKE, 1870 シロインコザル(シロザルは別物)は同種の可能性が高いそうです。
*本科にはimbricataと言う種名が他にもいくつもあり異名になっています。


余談ですが、本科の貝は殻表が脆いです。

追記(記事訂正):(2014年11月29日)
masさんにご指摘頂き、当初、iostoma CONRAD, 1837  カネツケキクザルガイとしていたものを上記に訂正します。
この標本は日本において"シロザル"と呼ばれて来た貝に当たるそうです。
iostoma CONRAD, 1837  カネツケキクザルガイはもっと浸透するような濃い紫色に縁取られるそうです。
また、フィリピンなどから知られるシロザルとはかなり雰囲気が異なり、同種かどうかは今後の研究に期待したいと思います。
iostoma CONRAD, 1837  カネツケキクザルガイはlimbula LAMARCK, 1819と言う種の異名とされていますが海外の文献での写真は本標本に非常に良く似ています。)
kudamakiさんからの情報によると、この標本を得た場所でも本物のiostoma CONRAD, 1837  カネツケキクザルガイが採集できるそうです。


参考文献:
日本近海産貝類図鑑(奥谷喬司編著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)
沖縄の海の貝・陸の貝(久保弘文・黒住耐二共著)
BIVALVES of AUSTRALIA Vol.1(KEVIN KAMPRELL・THORA WHITEHEAD著)
PHILIPPINE MARINE MOLLUSKS VOLUME Ⅳ(GUIDO T. POPPE著)
プロフィール

Mozu

Author:Mozu
幼い頃から都会で育ち海への憧れは人一倍でした。思い出として残る貝殻が大好きです。              

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ウミウサギ 
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コレクター目線とダイバー目線の両方からウミウサギの魅力を紹介した私の著書です。      ご覧頂ければ幸いです。    
カテゴリ
ナショナルジオグラフィック
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