潮騒の宝箱

海の生き物が大好き、その中でも和歌山県で採集した大好きな貝類を中心に紹介しています。過去スレへのコメントも大歓迎です(=^ ^=)/
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レーダーキヌヅツミ

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Phenacovolva rehderi CATE,1973 レーダーキヌヅツミガイ
ウミウサギガイ科 2015年11月 南部堺港揚がり エビ刺し網 33mm

模式産地:紀伊沖 水深27m
分布:房総半島、紀伊半島、南アフリカ
   水深27〜200m

本種は今まで数少ない報告しかされていない非常に稀な種の1つです。
subreflexa (A.ADAMS & REEVE,1848) ムラクモキヌヅツミガイに似ていますが殻色が淡い黄色で群雲模様が出ず、両端がオレンジ色に染まります。(殻の特徴も若干異なります。)
また滑層周縁部に黄色いラインが入ります。

しかし、実際の所はもしかしたらムラクモキヌヅツミの1型なのかも知れません。
キヌヅツミ類は特徴が少なく、分類が困難な種が多いです。

参考文献:
PHILIPPINE MARINE MOLLUSKS(Guido T. Poppe著)
ウミウサギ -生きている海のジュエリー(飯野 剛・監修:高田良二・生態写真:高重 博)
The living Ovulidae(Felix Lorenz, Dirk Fehse著)
大分県産貝類目録・図譜(濱田 保著)

ユキキヌヅツミ

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"Aclyvolva" gracillima (E. A. SMITH, 1901) ユキキヌヅツミガイ
  Syn: clara CATE, 1973
ウミウサギガイ科 2009年3月 南部堺港揚がり エビ刺し網 18mm

模式産地:南アフリカ ダーバン沖
分布:紀伊半島、沖縄県、フィリピン、ニューカレドニア、南アフリカ
   水深40〜230m ムチヤギ類上

前述のyoshioi (AZUMA & CATE, 1971) ヨシオキヌヅツミガイと非常によく似ていますが本種には中央に陵が出ず、老成すると外唇が波打つ場合があります。
通常はヨシオキヌヅツミと同じく白い個体が多いのですが稀に図の個体のように色づきます。
(HPの方でヨシオキヌヅツミとして2番目に紹介している個体は本種です。)

前種と同じくムチヤギ類をホストとします。

参考文献:
PHILIPPINE MARINE MOLLUSKS(Guido T. Poppe著)
ウミウサギ -生きている海のジュエリー(飯野 剛・監修:高田良二・生態写真:高重 博)
The living Ovulidae(Felix Lorenz, Dirk Fehse著)
大分県産貝類目録・図譜(濱田 保著)

ヨシオキヌヅツミ

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"Aclyvolva" yoshioi (AZUMA & CATE, 1971) ヨシオキヌヅツミガイ
ウミウサギガイ科 2004年3月 南部一本松港揚がり 切目崎沖 エビ刺し網 水深70m 29mm

模式産地:紀伊切目崎沖 水深37〜55m
分布:伊豆諸島、相模湾、伊豆半島、紀伊半島、九州西岸、種子島、フィリピン、フィジー、ニューカレドニア、
   西オーストラリア
   水深30〜400m

私の著書、ウミウサギ -生きている海のジュエリー(飯野 剛・監修:高田良二・生態写真:高重 博)ではPhenacovolva (Calcarovula) に含めていますが、自らゲノムを調べた所、同属に含まれるツリフネキヌヅツミガイなどとは全く非なるものでウミウサギガイ科の仲間の中でもcoarctata ADAMS & REEVE, 1848 ホリキヌヅツミガイと並んで特殊なものでした。(少なくとも亜科以上、あるいは科レベルの違いでした。)

次に紹介するgracillima (E. A. SMITH, 1901) ユキキヌヅツミガイとは非常によく似ていますが、本種は中央に強い陵を生じよく見ると殻のバランスがかなり異なります。
近年発表されたarthritica LORENZ & FEHSE, 2009はその特徴が顕著になり瘤状になった変異個体だと思っています。

参考文献:
PHILIPPINE MARINE MOLLUSKS(Guido T. Poppe著)
ウミウサギ -生きている海のジュエリー(飯野 剛・監修:高田良二・生態写真:高重 博)
The living Ovulidae(Felix Lorenz, Dirk Fehse著)
大分県産貝類目録・図譜(濱田 保著)

ヒメコボレバケボリ

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Serratovolva parvita AZUMA, 1974 ヒメコボレバケボリガイ
ウミウサギガイ科 2003年12月 南部堺港揚がり 切目崎沖 水深60m エビ刺し網 6mm

模式産地:紀伊切目崎沖 水深30〜40m
分布:紀伊半島、九州、フィリピン、マレーシア、パプアニューギニア
   水深30〜110m ウツロヤギ属上

masaoi CATE,1973 アズマコボレバケボリガイに非常に似た種ですが、より小型で肩が張らずスリムな貝です。
産出はアズマコボレバと比べれば非常に稀です。
更に似た種に中部太平洋からdeforgesi LORENZ & FEHSE, 2009が知られます。

私自身がDNAを比較した所、アズマコボレバケボリやdorsuosa (HINDS,1844) キンスジケボリガイは所属される事が多いPrimvula属やDentiovula属よりもdondani (CATE,1964) ノコギリバケボリガイを含むSerratovolva属に近いと言う結果が出ています。

参考文献:
PHILIPPINE MARINE MOLLUSKS(Guido T. Poppe著)
ウミウサギ -生きている海のジュエリー(飯野 剛・監修:高田良二・生態写真:高重 博)
The living Ovulidae(Felix Lorenz, Dirk Fehse著)
Catalogue and bibliography of the marine shell bearing mollusca of Japan(肥後俊一・Paul Callomon・後藤芳央 共著)

シュスヅツミ

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Phenacovolva brevirostris (SCHMACHER,1817) シュスヅツミガイ
  Syn: dancei CATE, 1973 ダンスキヌヅツミガイ、fusula CATE & AZUMA,1973 フネガタキヌヅツミガイ、
     sowerbyana WEINKAUFF, 1881 ハラブトキヌヅツミ、etc

ウミウサギガイ科 
  1999年1月 南部堺港揚がり 白浜沖 エビ刺し網 水深40m 28.5mm
  2006年1月 南部堺港揚がり 白浜沖 エビ刺し網 水深40m 25.5mm
  2009年3月 南部堺港揚がり 南部沖 エビ刺し網 水深50m 13mm
  2004年3月 南部堺港揚がり 南部沖 エビ刺し網 水深60m 26mm

模式産地:フィリピン マニラ湾 Bataan
分布:相模湾、伊豆半島、遠州灘、紀伊半島、四国(土佐沖)、九州西岸、奄美大島、沖縄県、東シナ海、
   台湾、中国大陸南部、クック諸島、ハワイ諸島、フィリピン、マレーシア、インドネシア、
   オーストラリア北部、インド、ペルシャ湾、ソマリア、モザンビーク、南アフリカ(ナタール)
   水深20〜100m ホソヤギ科、トゲヤギ科、ムチヤギ科、ウミカラマツ類上

本種も非常に変異の多い貝ですが軟体はあまり変化がないように思えます。
(またこの貝も他のウミウサギ類と同様に非常に色褪せやすいです。)
和歌山の浅い刺し網では普通に見られ、ベニキヌヅツミ(シロオビキヌヅツミ)やツリフネキヌヅツミなどと共に得られ刺し網で得られるお馴染みのウミウサギ類の1つです。

現在も多くの種名がつけられ分けられていますが私は単一種だと思っています。
(同じホスト上から異なるタイプのものが得られる事からも単に変異だと思います。)
上の図2個体が標準的な個体で、3番目のずんぐりした個体がfusula CATE & AZUMA,1973 フネガタキヌヅツミガイと呼ばれるもの(模式産地は南部沖)、4番目の水管が長くなり華奢な感じがするものがdancei CATE, 1973 ダンスキヌヅツミガイと呼ばれるものだと思います。

参考文献:
日本近海産貝類図鑑(奥谷喬司編著)
ウミウサギ -生きている海のジュエリー(飯野 剛・監修:高田良二・生態写真:高重 博)
The living Ovulidae(Felix Lorenz, Dirk Fehse著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)

ツグチガイ

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Sandalia triticea (LAMARCK, 1810) ツグチガイ
  Syn: fumikoae AZUMA & CATE, 1971 フミコツグチガイ、takae CATE, 1973 タカキヌハダヅツミガイ、
     rhodia A. ADAMS, 1854、pontia CATE, 1975

ウミウサギガイ科 
 2001年4月 南部堺港揚がり 南部沖 エビ刺し網 水深60m 12.5mm
 2003年3月 南部堺港揚がり 南部沖 エビ刺し網 水深70m 13mm
 2003年2月 印南漁港揚がり 切目崎沖 エビ刺し網 水深60m 13mm

模式産地:日本
分布:北海道南部・男鹿半島、房総半島、三浦半島、伊豆半島、紀伊半島、瀬戸内海、四国(土佐沖)、九州、東シナ海、韓国、中国大陸
   潮下帯〜水深200m イソバナ、オウギフトヤギなどに着生

本種は日本産のウミウサギの仲間では最も温帯に適応し、北海道南部にまで分布します。
また、打ち上げなどでも得られるためお馴染みの貝の1つです。

和歌山は暖流の影響が強いためか、北部(加太)では打ち上げで得られるものの県中南部では浅い所ではあまり見られず、三浦や御前崎で見られるような標準的な本種(下図1番目)の雰囲気とはかなり異なっています。(こういうタイプがfumikoae AZUMA & CATE, 1971 フミコツグチガイと呼ばれるものだと思います。)
南に行く程生息深度が深くなる傾向があるようで東シナ海などではトロール漁で得られます。

また、比較的ホストの選択の幅も広く生息深度の範囲も広くバリエーションに富むため多くの異名があります
オウギフトヤギを選ぶものは色合いも異なり大型でtakae CATE, 1973 タカキヌハダヅツミガイ(下図2番目)と呼ばれます。

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2003年7月 神奈川県真鶴 水深1〜2m 15mm 
*この標本は雉猫さんからの頂き物です。

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2008年3月 静岡県大瀬崎 水深23m オウギフトヤギ上 18.5mm 
*この標本はTさんからの頂き物です。

参考文献:
日本近海産貝類図鑑(奥谷喬司編著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)

マメウサギ

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Procalpurnus lacteus (LAMARCK,1810) マメウサギガイ
  Syn: semistriatus PEASE, 1862 ヒナウサギガイ?
ウミウサギガイ科 2006年8月 串本町 上浦 水深3m 21mm

模式産地:チモール島付近
分布:紀伊半島、四国、九州西岸、奄美大島、沖縄県、台湾、ハワイ諸島、フィリピン、インドネシア、
   オーストラリア(クイーンズランド州〜南西オーストラリア)、紅海、タンザニア、
   モザンビーク、南アフリカ
   潮間帯下部〜水深20m(70m?) ウミキノコ類上

本種は和歌山県では白浜よりも南の南紀地域で最も普通のウミウサギ類の1つです。
打ち上げでも得られますし、生態も少し潜ればウミキノコ類さえ見つかれば珍しくありません。
ウミキノコ類(ソフトコーラルの1種)でも多産するユビノウトサカには見られず、やや固いウネタケ類の上もしくは縁辺の裏側にいます。

近海産図鑑の本種の背面側の写真は裏焼きです。
また、semistriatus PEASE, 1862 ヒナウサギガイは模式図を見る限りでは本種の異名と思われます。
ただ、図ではやや華奢な感じがしていて、記録水深も本種よりも深く(水深10〜70m)、ホストも不明なのではっきりしません。
近海産図鑑のヒナウサギガイの図は別属の種、Globovula sphaera CATE, 1973 ヒナウミウサギガイと思われます。(この種もオゴクダ浜の打ち上げで確認されています。)名前が紛らわしいから混同してしまったのかな??

参考文献:
日本近海産貝類図鑑(奥谷喬司編著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)

ウミウサギ

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Ovula ovum (LINNAEUS,1758) ウミウサギガイ
ウミウサギガイ科 1997年3月 南部堺港揚がり、富田沖 水深20m 68mm

模式産地:ニューギニア
分布:伊豆半島、紀伊半島、四国、九州南部、奄美大島、沖縄県、台湾、フィリピン、フィジー、
   ツアモツ諸島、ソシエテ諸島、パプア・ニューギニア、ニューカレドニア、
   オーストラリア(ニューサウスウェルズ州、クイーンズランド州〜西オーストラリア)、
   紅海、タンザニア、モーリシャス諸島、マダガスカル、南アフリカ
   潮下帯〜水深20m サンゴ礁のユビノウトサカやウミキノコ類上

白い陶器のように美しい殻に夜空に星をちりばめたような黒い外套膜が対照的な美しい種です。
和歌山の漁師さんは『白猫』と呼んでいて、刺し網にも掛かりますが、県南部でシュノーケリングをしていて比較的浅いところから確認できます。
本種は大型で真っ黒な外套膜なため、水面からながめてもよく目立ちます。(ユビノウトサカへの食害痕も大きいです。)

和名では本種を兎に例えていますが、英名はEgg Cowrieです。(学名も卵です。)
軟体は処理を失敗すると殻口が黒いシミになって残ります。(この標本は漁師さんが取っておいてくれたもので、殻口がシミになっています。)

白浜のダイビングやオゴクダの打ち上げでは珍しい種、costellata LAMARCK,1810 クチムラサキウミウサギガイも確認されています。

参考文献:
日本近海産貝類図鑑(奥谷喬司編著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)

ラハイナキヌヅツミ

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Phenacovolva lahainaensis (CATE,1969) ラハイナキヌヅツミガイ
ウミウサギガイ科 2005年1月 南部堺港揚がり 南部沖 エビ刺し網 水深50m 20mm

模式産地:ハワイ諸島 マウイ島 水深58m
分布:紀伊半島、四国、韓国(済州島)、フィリピン、インドネシア、ハワイ諸島、マルケサス諸島
   水深5〜79m ウミカラマツ類上

中部太平洋と日本の南岸から知られる珍しいキヌヅツミです。
rosea (A.ADAMS,1854) ベニキヌヅツミガイとsubreflexa (A.ADAMS & REEVE,1848) ムラクモキヌヅツミガイの中間的な雰囲気があります。

韓国や東南アジアから得られている個体は標本を見る限りはsubreflexa (A.ADAMS & REEVE,1848) ムラクモキヌヅツミガイではないかと思われます。

参考文献:
HAWAIIAN MARINE SHELLS(E. ALISON KAY著)
ウミウサギ -生きている海のジュエリー(飯野 剛・監修:高田良二・生態写真:高重 博)
The living Ovulidae(Felix Lorenz, Dirk Fehse著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)

アズマケボリ

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Primovula azumai (CATE,1970) アズマケボリガイ
  Syn: myrakeenae AZUMA & CATE,1971 キーンケボリガイ、キーンツグチガイ
ウミウサギガイ科 
 2007年3月 印南漁港揚がり 切目崎沖 水深60m エビ刺し網 7.2mm
 2002年2月 南部堺港揚がり 切目崎沖 水深50m エビ刺し網 9.5mm
 2003年2月 南部堺港揚がり 切目崎沖 水深50m エビ刺し網 9mm
 2007年4月 南部堺港揚がり 南部沖 水深70m エビ刺し網 10mm
 2002年3月 南部堺港揚がり 切目崎沖 水深60m エビ刺し網 9mm

模式産地:南紀 切目崎沖 水深37〜55m
分布:相模湾、伊豆半島、紀伊半島、四国(土佐沖)、九州、フィリピン、インド、南アフリカ
   水深20〜250m トゲヤギ科(トゲナシヤギ属)に付着

やや深い所、水深40〜60mにもっとも普通に見られるウミウサギの仲間で、カラーバリエーションが豊富で透明感がありとても美しい種です。

colobica AZUMA & CATE,1971 コボレバケボリガイやeizoi AZUMA & CATE,1973 スミレコボレバケボリガイに色彩形状ともに似ますが、前後管溝がイソギンチャク状にならない点で異なります。
近い種にはmucronata (AZUMA & CATE,1973) トガリケボリガイとcelzardi FEHSE, 2008 ミカヅキケボリガイがあります。
異名のmyrakeenae AZUMA & CATE,1971 キーンケボリガイは一番下のような個体に名付けられたのだと思います。
カラーバリエーションが豊富な本種ですが4番目のやや緑がかった黄色のものは1度しか得たことが無くとても珍しいです。

参考文献:
日本近海産貝類図鑑(奥谷喬司編著)
PHILIPPINE MARINE MOLLUSKS(Guido T. Poppe著)
ウミウサギ -生きている海のジュエリー(飯野 剛・監修:高田良二・生態写真:高重 博)
The living Ovulidae(Felix Lorenz, Dirk Fehse著)
日本及び周辺地域産軟体動物総目録(肥後俊一・後藤芳央 共著)
プロフィール

Mozu

Author:Mozu
幼い頃から都会で育ち海への憧れは人一倍でした。思い出として残る貝殻が大好きです。              

私の本
ウミウサギ 
-生きている海のジュエリー
コレクター目線とダイバー目線の両方からウミウサギの魅力を紹介した私の著書です。      ご覧頂ければ幸いです。    
カテゴリ
ナショナルジオグラフィック
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